痔ろうの治療

痔ろうについて

痔ろうとは、肛門と皮膚の間に瘻管(トンネル)ができた状態のことをいいます。

痔ろうの原因

肛門と直腸のつなぎ目には、肛門陰窩(こうもんいんか)というト8~12個ほどのポケットがあります。そのポケットに便汁などが入り込んで炎症を起こし、膿をためると肛門周囲膿腫となります。
更に、膿が広がり肛門皮膚側に破裂することで、痔ろうとなります。

肛門周囲膿腫

痔ろうは男性に圧倒的に多く、男女比でいうと5~6:1。
特に30代~40代の比較的若い男性がなりやすい傾向にあります。

痔ろうのタイプ

Ⅰ~Ⅳ型(単純痔ろう~複雑痔ろう)のグレードに分類されます。

    • Ⅰ型(皮下痔ろう)

裂肛痔ろうと言われるもので、ごく浅い皮下の痔ろうです。

    • ⅡL型(低位筋間痔ろう)

痔ろうと診断されるうちの約70%を占める最も多いタイプです。
肛門括約筋の間を走行して、皮膚に達する痔ろうです。

    • ⅡH型(高位筋間痔ろう)

痔ろうと診断されるうちの約10%程度です。
肛門括約筋の間を上方に走行するタイプの痔ろうです。

    • Ⅲ型(坐骨直腸窩痔ろう

痔ろうと診断されるうちの約10%程度です。
深く複雑なタイプの痔ろうです。

    • Ⅳ型(骨盤直腸窩痔ろう)

痔ろうと診断されるうちの約2~3%程度です。
最も深く複雑なタイプの痔ろうです。

  • 痔ろうのタイプ
  • 痔ろうのタイプ
  • 痔ろうのタイプ

痔ろうの治療について

基本的に痔ろうは自然に治ることはありません。
明らかな痔ろうに対しては、手術の対象となります。

治療方法

1.切開解放法(単純痔ろう Ⅰ~ⅡL型)
肛門の括約筋の一部を切開し、ろう管を開放して、創を自然治癒させていき根治させる方法です。

切開解放法

2.Seton(シートン)法(ⅡL・H、Ⅲ)
ろう管に輪ゴムを通し、ゴムの力で括約筋をゆっくり切っていくことで、ろう管を体外へ開放させる方法です。
完治するまでにはある程度の時間がかかります。

Seton(シートン)法

3.肛門括約筋温存術
ろう管だけをくり抜いて切除することにより、括約筋を切断しないで温存する方法です。
再発率が高いという報告もあるので、事前の診察でじっくり検討する必要があります。

合併症について

痔ろうの手術で最も怖い合併症が、出血と痛みでしょう。
切開解放法やシートン法で創が開放されているため、痛みや出血を生じることがあります。

術後の痛みと出血については投薬でのコントロールを行います。
また、当院で開発した「術後日記アプリ」を使って術後の体調管理を行います。

長期的な合併症としては、肛門の変形と便漏れ(便失禁)も心配となるでしょう。
術前の診断と適切な術式の選択が行われていれば、過大に肛門括約筋の切除や侵襲をかけることにはなりません。

複雑痔ろうの術後の便失禁発症率は0~54%との報告があります。
複雑なタイプの痔ろうの場合には、入院での治療も必要になります。

痔ろうを放置すると

膿がたまり破裂して膿が出るということを、長期にわたり繰り返している人がいます。これでは、痔ろうが枝分かれして複雑な痔ろうに進行してしまいます。

複雑な痔ろうを長年放置しておくと、稀に癌化することがあります。